先代との比較

事業承継においては、事業をどなたかに継いでもらう事ですので当然、先代となる経営者がいて後継者となる方がいて成り立つものです。
実際に、後継者として入社してみると周囲の社員からは先代とよく比較されました。私の場合は親が死去していましたので余計に比較されたような気がしました。
幸いにも、父親の若い時より私の方がマシという評価ではありましたが比較評価される方はたまったものではありません。
しかしながら、他者は人の評価が好きなものですし、比較評価を止める事は不可能です。
従って、私の場合は比較評価される事は無視して、自分のやりたい様にしようと思っていました。(実際のところは何一つやりたい事が出来ず、ストレスが溜まっていましたが。。。)
私の一族の話しをしますと、創業者が祖父、2代目が父、3代目が私(途中退社)となります。

創業者の祖父は、やはり創業者であった為相当なカリスマ性があったようです。戦争を生き抜き、裸一貫で技術者として独立した人物です。戦争において将校だったようで、その経験からか相当強烈なリーダーシップを持って事業を推進したようです。
2代目の父親は、初代の敷いたレールに乗っかり突き進む事を求められましたが、相当苦労した様です。祖父とは違い、強烈なカリスマ性は持っておりませんでした。しかし、本人は能力の不足しているところは素直に認め、会社の人材を活かす事を突き詰め、いわば民主的なリーダーシップを築いたようです。その為なのかは分かりませんが、一部の幹部社員を除く多くの社員は父親を慕い、お葬式の時に涙を流してくれました。
そして、3代目の私としては、父親が死去し、経営権も保有していない事から後継者として入社したものの後継者としては扱われず退職する事にしました。
仮に、親の会社に在籍をしていたとしたらおそらく何物にもならず一般の社員と同様の働きをしていたと思います。
それは、会社や事業の中での親の背中を見る事が出来ない為、「自分ならこうしよう」、「このやり方はよくない」等との比較が親との間で出来ないからです。
2代目である父親もおそらくは創業者の祖父の働きを見て、承継するやり方と違うやり方の峻別を行い、時代にあった、そして自分のスタイルを築いていったのだろうと思います。
また、M&Aにおいても承継する方は先代のやり方等を、顧問としてお願いしている間に学べるだけ学んでおいた方が良いと思います。譲渡企業においては、先代との比較を良いも悪いもされる事になります。そして先代のやり方、考え方をしっかりと理解した上で、別のやり方を採用する等して企業文化の統合、変革を行って頂きたいと思います。