2019.05.30

M&A売却における相手との合意形成

 M&Aのプロセスとして、基本合意契約を締結し、各種デューデリジェンス(財務、法務、ビジネス等)を経て最終条件を纏めて最終譲渡契約を締結致します。中には基本合意契約を当事者の合意でスキップする事もあります。(弊社関与の案件では必ず基本合意契約を締結しますが)
 とあるM&Aを実施した会社でのトラブルをご紹介いたします。その買収候補者A(以下A)は売却対象会社B(以下B)を基本合意契約を経て買収する事になりました。Aはあらかじめ定款や就業規則、各種データは確認していましたがいざ買収を実施すると想定外の事がありトラブルとなりました。それは基本合意契約から最終譲渡契約の期間中に従業員の処遇変更や資産の売却を行っていたというものです。通常弊社で締結をする基本合意契約及び最終譲渡契約は資産の移動、処分、定款等の規則集の変更は実施する前に買収候補者の同意を得るものですが、Bは同意を得ずに資産の処分等を行っていました。
 結果としてはBが資産の処分等を弁済した事で終わりましたが、信頼関係は大きく傷をつける事になりました。
M&Aにおいては売却対象の事業状況が常に変化しますが、その変化を買収候補者がある程度決まっているのであれば、変化について報告を行い、何かしらの変更等が必要であれば合意形成を行う必要があります。
 売却対象者は事業を売却すれば終わりではありません。むしろ売却してから丁寧に手を放していく事をしていかなればトラブルの要因となりますのでご留意頂きたいと思います。

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